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    2017.03.19 Sunday/ -/ / -/ -/ -/ -/ by スポンサードリンク

人生、ゆるむが勝ち

この本は、ゆる体操の人生への応用編といった本だ。ゆる体操によるゆるみが、私たちの実生活を円滑化させ充実させるためにも、どれほど大切なことであるかが、いくつかの印象的なエピソードとともに語られている。

「‥‥ゆする、ゆれる、ゆるむということを意識して、ゆすり方や気持ちの持ち方を工夫していくと、ゆする、ゆれる、ゆるむが、ぐるぐるとサイクル状になって回っていく。お互いに次々に影響し合い、らせん階段を上っていくようにどんどんいい状態になって、各パーツの連結が解放されていくことに気がついたのです。」

これは、同著者の『「余分な力」を抜けば、人生が変わる!』(三笠書房、2003年)の方からの引用だが、らせん状にゆるんでいくという感じが、ゆる体操を始めたばかりの私にも、何となく実感できる。このように自分でやってみての体感からも、本を読んで受ける直感からも、ゆる体操という理論と方法が、これからますます重要な意味をもってくるのではないかと感じる。これは「本物」だという、強烈な印象がある。

心が固まれば、体も固まる。体がゆるめば、心もゆるむ。これは、常識ないし生活の知恵としては誰もが知っている。しかし、その関係を科学的な姿勢で探究し、からだをゆるめる効果的な方法を確立したところに著者の画期的な業績がある。体がゆるむと、自律神経やホルモンの状態が改善し、精神が安定して頭脳が冴え、発想力までものが高まってくる。つまり、リラックスしながら集中力が高まってくるのだという。

著者が、日本のバス・バリトン界を代表する声楽家・浦野智行氏を指導し、育てた過程のエピソードは印象的だ。非常な才能に恵まれながら極端に内向的だたった浦野氏をゆっくりと育てた。常にゆるむ訓練をしていた著者は、自分の意見をほとんど言えない浦野氏をじっくり許容するゆとりを持っていた。自分のゆるんでいる力を浦野氏に存分伝えた。

ひたすら彼を待ちぬき、三年もたつと、しだいに彼がゆるんでいった。こちらのゆるみが伝わり、彼もゆるんで安心する。人の反対意見を聞きながら、自分の意見をいえるようになる。そうやって自信もついてくる。ここでいう自信とは、他の誰かと比べて優れているという自信ではない。本当の自信とは、自らに対する信頼であるという。

「だって自分はこう思っているんだもん、あなたの考えと違ったらごめんなさい。でも、これこれこういう理由で本当にこう思うんだもん。あなたの考えも聞かせてほしい。」

このような、何者にも頼らない、本当の自分から生まれてくる自信が、浦野氏に確実に育っていったという。印象的なのは、こちらのゆるみがじっくりゆっくりと相手に伝わり、相手もゆるんで行くというところだ。

人間関係をよくしたいと思ったら、自分がゆるめばいい。本当にゆるんだ人間の笑顔に接すると、固まっている人がほっとして、ついついゆるんでしまうという。30分もしないうちにすっかりゆるんで楽になる。こちらがゆるめば、そういう人間関係を作ることができる。そんなゆるみを目指したいものだと、つくづく思う。

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森を歩く―森林セラピーへのいざない

植物が発する揮発性の物質フィトンチッドが人間に有益な働きをするという情報とともに、「森林浴」という言葉が広く使われるようになったのは 1982年2月からだそうだ。私も、そこまでは知っていた。しかし、その後の展開については知らなかった。この本は、「森林浴」がさらに「森林療法」として発展していった経過を興味深く語っている。私にとっては、はじめての情報だったのでとても興味深く読むことができた。

森林内に入ると生理的に身体がリラックスすることが、各地の森林で実験的なデータとして確認できたという。それだけでなく、重度の精神障害や自閉症をもつ人が、森林散策や森林作業などに参加すし一ヶ月もたつと、指導員の呼びかけて応えて返事をするようになるなどの変化が現れたという。

本書の後半は、森林浴や森林療法に適した森林のガイド文クになっている。

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古伝空手の発想 身体で感じ、「身体脳」で生きる

人間が持っている不思議な力を、誰でもすぐにできる簡単な実験ので確認できるのが素晴らしい。本に紹介された実験を自分で試して納得できる。著者は宇城賢治師範について学んでいるスポーツライターだが、かつての自分の間違いを率直に認め真摯に学び取ろうとする視点から書いているのが好感がもてる。文章もわかりやすい。

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呼吸入門

評価:
齋藤 孝
角川グループパブリッシング

著者が、「一気に読むことのできる本を目指した」と言うとおり、すぐに読み通せる。しかし、今の日本人に忘れ去られようとしている大切なことに触れ、それを取り戻すために一つの役割を果す主張であろう。私自身、自分のサイトの論文集>「心身一如」と教育観の変革において、調身、調心、調息が、人間の心の成長を促そうとする教育にとって欠くことのできないものだという主張をしたことがあるので、共感するところが多い。著者の主張や方法が日本の教育界でもっともっと認知されていけば、今の子供たちが直面する問題を解決する糸口になるだろう。

東洋の行法や呼吸法、身体論、禅などにある程度関心のある人からすれば、書かれていることは、初歩的なことかもしれない。しかし、著者が300人ほどの40〜50代の男性に行った講演で「臍下丹田」の意味を知る人が一人もいなかったという現実を聞くと、日本人にかつて存在した身体文化は急速に失われつつあると思い知らされる。だからこそ、その重要性を平易に語ることが逆に、新鮮な主張として受け入れられるし、それが意味をもつのだろう。

日本的な「型」の文化や教育法の復権は、語り方によっては「古めかしい」「反動的」などと受け止められかねないが、著者の語り方のスタイルと料理法には、広く大衆に受け入れられる新しさがある。呼吸をテーマとしながら「気」についてあえて語らない「見識」も、さすがだなと思った。

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“癒す知”の系譜―科学と宗教のはざま

◆『“癒す知”の系譜―科学と宗教のはざま (ニューヒストリー近代日本)

同著者の『精神世界のゆくえ』が興味深かったので、これも以前から読んで見たかった。食養、心理療法、世界観という視点から明治期以来の日本の〈癒す知〉の系譜を振り返っている。私自身が、とくに最近小食を実践しており、食養に関心が深まっていたので、今が読むタイミングかなと思った。

まず近代科学の知からはみ出してしまいながら、その欠点を克服していく可能性を秘めた膨大な知の領域を「癒す知」という観点から捉える概念化は、見事に現象の本質を捉えていると思う。あるいは、この領域の創造的な面を浮き彫りにするネーミングだと思う。

「〈癒す知〉はからだ(身体)や心に関わる知、また、からだや心に関わるものとしての自然と社会についての知である。からだや心が痛みや苦しみから解き放たれ、より健やかで本来の豊かな可能性を発揮できる状態へと回復するための知である」

たとえば、私たちが「精神世界」と呼んでいる領域のかなりの部分は〈癒す知〉に関わっている。からだや心が癒えていく過程は、近代科学的、還元主義的な知ではその本質をとらえきれない。そういう過程の本質を捉えきるには、近代知とはまったく別の世界観と方法〉が必要なのだ。そういう代替知としての可能性が〈癒す知〉という概念にはこめられている。

〈癒す知〉は、近代知と対比してその欠陥を明らかにするような視点を明確にする概念である。オルタナティブ科学や「精神世界」にかかわる様々な取り組みを〈癒す知〉という観点から捉えるならば、そこにかぎりなく豊かな可能性が見えてくるのではないだろうか。
 
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鍼灸の挑戦―自然治癒力を生かす

現代日本の鍼灸の世界の実情がどのようなものか、その全体像が見渡せて、実に参考になり、考えさせられる。

著者は、長年ジャーナリズムの世界に身を置いた人だが、病気の後遺症を東洋的な自己ケアの方法で行おうと、自ら鍼灸学校に通い、研究を重ねて鍼灸の世界に精通した。こうして鍼灸の世界に初めてジャーナリスティックな視線で分け入り、「平成鍼灸家列伝」ともいうべき鍼灸ルポができあがった。

一読して感じるのは、日本にも個々に優れた鍼灸家がいるが、無数の流派に分かれ、相互に矛盾する理論とわざを展開し、その全体像が見えず、また鍼灸という実践的な学問としての体系化が全くなされていないことである。これだけ多様で創意に満ち、効果的な実践が各地で行われていながら、それらの知見を相互に付き合わせて体系化し、さらに発展させていくような全体的な動きは、ほとんどない。

日本の鍼灸界を俯瞰するための地図がどこにもない現状にあって、この本が「日本の鍼灸を一望の視野に収める地図を描くための予備作業」という意味を担いうることは確かだ。

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生きがいの催眠療法

◆『生きがいの催眠療法―光との対話が人生を変える

催眠療法で過去生とその死を追体験して、死んだその肉体を抜けて浮上すると、多くの受診者が光との対話をはじめます。臨死体験がしばしば報告する圧倒的で感動的な愛の光の体験ほどではないのですが、しかし、催眠中の光との対話によって、過去生や今の生の目的や課題が示唆されます。

受診者が、過去生を振り返りつつ、その視点から今の生の意味を問い直します。その対話を通して受診者は、自分に対してより受容的になり、前より豊かな人生を歩むようになるのです。これほど多くの人が、催眠中に光と対話をおこない、そこから人生の大切な指針を得ているという事実の重みを感じます。

光は、おおむね、人生の目的は周囲への愛を育むことだと答えます。そのためには、自分を許し、満たし、愛することが大切だと語ります。

退行催眠によって受診者たちが旅した数々の過去生。とりわけ過去生で死んだあと、その後の世界での光との対話。光が受信者に語るメッセージ。そのメッセージの真実性が、じわりと心に染み込んで来て影響されて居るのを感じます。
 
この地球上のひとつひとつ、すべての人生が、愛を育み、成長するための学びの学校。
その学びの場で
「まず自分を愛しなさい、許しなさい」
「人生を楽しみなさい」と光はいいます。

臨死体験者や覚醒者が語るのと同じメッセージを、これほど多くの人々が催眠中に語るという動かしがたい事実。受診者の語る個々の過去生の重みや光との対話の真実性、それらのすべてが共鳴しあいながら私の心に触れてくるようです。自分のこの人生を、大きな大きな生死の流れの中で相対化する視点が育まれるのを感じました。

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実践「免疫革命」爪もみ療法

◆『実践「免疫革命」爪もみ療法―がん・アトピー・リウマチ・糖尿病も治る (講談社プラスアルファ新書)

「免疫革命」理論の画期的なところは、自律神経という全身を統御するしくみとストレスの関係を、信頼できるデータと治療効果によって明らかにしたことである。 自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスで成り立っている。精神的・肉体的 ストレスがかかると、そのバランスが交感神経優位へと大きくふれ、それが白血球 のバランスを崩して、体内の免疫力を低下させる。  

こうした全体的な免疫のシステムを明らかにすることで、すべての病気は全身病であるという東洋医学的な捉え方の正しさを見事に論証したのだ。 これは、東洋医学や補完代替医療にとっても待ち望まれた理論であろう。その有効性が、近代医学の側からの実験的なデータや理論によって、しかも細分化された機械論を超える、生体の働きを全体的にとらえる新しい免疫学として証明されつつあるのだ。  

特にこの本が興味深いのは、西洋医学に携わる医者である著者が、気圧と虫垂炎の関係から、自律神経と気圧の関係に興味を持って、調査するうちに、体のある部分だけを取り上げて治療する西洋医学に大きな疑問を感じるようになったことだ。 著者が自分自身の経験を通して病気観や治療法を根本的に変えていく過程が、わかりやすく報告されている。著者は、安保徹の「免疫革命」理論に出会い、また東洋医学の針治療の驚くべき効果に 出会うことによって、やがて独自の自律神経免疫療法を考案し、アトピー性皮膚炎 や癌などの疾患に驚くべき効果をあげていく。  

具体的な治療例をまじえて興味深く読むことができる。たとえば、アトピー性皮膚炎にステロイドを使用することが、いかに生体にダメージを与え、免疫力を低めるかが、いやというほど良くわかる。

爪もみ療法は、自律神経のバランスを整えるために誰もが短時間でできる方法で、こんなにかんたんな方法で効果があるのかと思うが、理論的な基礎と医者としての実践の積み重ねがしっかりしているので説得力がある。私もさっそく気軽に毎日にやっている。

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いのちの輝き―フルフォード博士が語る自然治癒力

いのちの輝き―フルフォード博士が語る自然治癒力

吉本ばななの「私はこの本を何回読み返しただろう?何人にすすめただろう?」という言葉に引かれて読む気になった。オステオパシーの名医・フルフォード博士の語り口から感じられる患者や人間への愛、本来の命がもつ力・生命エネルギーへの確かな実感と信頼、地に足のついた医療への態度、そうしたものが伝わってきて、なるほど、この感じが吉本ばななにあのように語らしめたのかと思った。

オステオパシーとは、手技を通じて全身の微小関節を調節することによって生体エネルギーの流れに介入し症状の緩和をもたらす骨調整療法であり、アメリカの代表的な代替医療のひとつだが、この生体エネルギーは、明らかに「気」といってよいものである。 1980年代の後半、19世紀の薬剤信仰を嫌っていたアメリカの医師・スティル博士は、 からだに本来そなわっているはずの自然治癒力を最優先する治療法を研究していた。観察を続けるうちに彼は、「どんな病気の患者にもかならず筋骨格系の異常があることに気づき、循環系と神経系のアンバランスが症状を起こしている」と考え始め た。

それを解決するには、手技によって問題の関節を調節することで循環をとりもどすことだとするのがオステオパシーの考え方だ。フルフォード博士は、その正統な後継者のひとりだ。からだには、活発に動くエネルギーの流れが存在し、その流れがブロックされたり圧迫されたりすると、心身が本来もつしなやかさや流動性を失う。 そこから病気の症状が現われる。それゆえ手技によってエネルギーのブロックを解除することが必要になるという。

オステオパシーの治療の一例を挙げよう。からだがだるく大儀で仕事もできずに、死ぬことばかり考えているという50代はじめの男性。何人の医師が検査しても原因が発見できず、膀胱に原因があるのでは、というある医師のすすめで膀胱を切除したが、病状はますます悪くなった。 衰弱し切った患者の診察をしたフルフォード博士は、昔の事故のことを質問した。肋骨あたりに過去の骨折の痕跡が感じられたという。男は驚いて17年前に対向車と衝突した事故のことを語った。その事故のショックがからだの中に残り、生命力がブロックされて、徐々に衰弱していたのだという。10分ほどの手技治療の直後、男は強烈なエネルギーがからだじゅうを駆け巡るのを感じる。数分後には自力で治療台からおき上がり、30分もたたないうちに、男は全身に生命力をみなぎらせて、気持ちよさそうに立ち上がった。

これと同じような事例が数多く紹介され説得力があった。説得力があったという意味は、オステオパシーが手技をつかって特定の関節の調節をすることでエネルギーの流れを取り戻すという点だが、その治療のプロセスとその効果が具体的で、確かな印象を残すのかもしれない。

『免疫革命』は病気の背景にある共通の問題として自律神経系や免疫系の乱れを挙げていたが、実際には、気=生命エネルギーの乱れもまた深く関係しているらしいということ、それが治療の過程で具体的な説得力をもって見えてくるのがオステオパシーの興味深いところだ。 それにしても、病気とその治癒ということを深く追求していくと、現代文明(現代の科学)そのものが持っている根本的な欠陥までもがあらわになってくる。病気と治療ということを通して学ぶべきことはきわめて多い。

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自律神経免疫療法

『自律神経免疫療法』福田稔著、安保徹監修(アキノ出版、2005年)
副題に「福田―安保理論の集大成、免疫を高めて病気を治す」とある。集大成というほど大部でも堅苦しい本でもないが、福田―安保理論と自律神経免疫療法を全体として眺めわたすことのできる本だ。監修者の安保氏も第2章で、自律神経と白血球の関係を分かりやすく語っている。
 
福田―安保理論は、ストレスと免疫力との相関メカニズムを初めて科学的に解明した理論として今後ますます重要性を増していくだろう。今回久しぶりに接してもっと勉強を深めていきたいと思った。
 
福田―安保理論関係の本を改めて読みたいと思ったのは、最近私が強い関心を持ち、実践も始めた甲田療法と付き合わせて、両者の関係をどのように理解することが出来るかを確認したかったからである。そのような関心からも、この本はたいへん興味深く読めた。
 
実は、最近取り上げた『食べ方問答』(甲田光雄、サンプラザ中野、マキノ出版、2004年)の中で甲田氏は、おそらく福田―安保理論に対して若干批判的な発言をしている。サンプラザ中野氏が、「ストレスを解消して副交感神経の働きを高めると、免疫力が強化されて病気が治るという免疫理論」についてどう思うかと、甲田氏に質問した。中野氏がいう免疫理論が、福田―安保理論も含んでの発言であることは間違いないだろう。
 
この質問に対して甲田氏は、「副交感神経を高めれば免疫力が挙がって病気が治るという理論自体は間違っていないが、ストレスが解消すればすべての病気が治るものでもない」と答えている。
 
たとえば、背骨の狂い、血液循環の不完全、腸内環境の悪さ等々が原因であるような病気が、副交感神経を高めただけで治るのか。また、交感神経と副交感神経とバランスが大切で、副交感神経を高めたからバランスが整うものでもない、と批判する。
 
以上の批判は、幸田氏の側の若干の理解不足がベースにあるような気がする。第一に、福田―安保理論でも、交感神経と副交感神経のバランスについては充分に言及されており、両者の比率の数字的に適切な基準も、顆粒球とリンパ球の割合という形で示している。
 
当然、副交感神経が過度に優位となり、リンパ球が増えすぎるとかかりやすい病気もある。たとえば、アレルギー疾患がそれである。しかし、病気の大半は、ストレスによる交感神経の緊張が招く血流障害と、顆粒球増加による組織破壊で発症するというのが、福田―安保理論のかなめである。だからこそ、副交感神経を刺激する養生法の必要性を説くのだ。
 
したがって福田―安保理論をきちんと批判するためには、「病気の大半がストレスによる交感神経の緊張からくる」という前提そのものを吟味する必要がある。そして、この理論については、福田、安保両者によるデータに基づいた研究が進んでいるようだから、批判はこの研究の方法や数字を具体的に挙げながらの議論でないと意味がない。
 
また、当然福田―安保理論は、「ストレスによる交感神経の緊張」以外の原因による病気も認めているのだから、それ以外の原因による病気もあるではないか、と批判するのは的外れである。
 
次に、福田氏からの小食療法への批判を見たい。ただし、福田氏は、この本の中で甲田氏や西式健康法の名前を挙げたり、朝抜き小食という方法を具体的に指摘しつつ批判しているわけではない。しかし、小食や玄米生菜食の問題について指摘する部分は確かにある
 
福田―安保理論では、リンパ球をふやして免疫力を高めることを重要視する。この観点から食べ物は、消化管を動かし、効果的に副交感神経を刺激するようなものを勧める。具体的には、玄米やキノコ、海藻類、野菜などである。これらは豊富な食物繊維があり、腸管を長く刺激する。しかも食物繊維は腸内で発生する活性酸素(ふえすぎるとガンをはじめとする生活習慣病を引き起こす)の除去にも役立つ。
 
栄養のバランスという観点からは、ほかに漬物、みそ、納豆、ヨーグルトなど発酵食品。これら完全食品を数種類食べるだけで栄養バランスをとることができる。つまり、主食は玄米、おかずに小魚、キノコ、野菜、漬物、豆などを適当に添えれば充分であるという。
 
この食べ物は、甲田療法で勧める食べ物と種類としてはほとんど同じである。何が違うかというと、肥満になったり、やせすぎなければ良いということで、あまり厳密には言わないことである。まんべんなく食べて、過食しない、少食になりすぎない、それだけ注意すれば充分とうことである。
 
ということで、福田―安保理論から甲田療法を見れば、不必要に少食をし過ぎるということになるであろう。(実際に名指しで批判をしているわけではないが。)
 
この違いは、病気の引き金になるものを何に見るかについて両者の違いから来る。福田―安保理論では、「多くの病気は、働きすぎ、心の悩み、薬の長期使用などのストレスによって交感神経が緊張し、免疫力が低下すること」だと考える。ガンやリュウマチや肩こりなど病気の原因はすべてストレスと見るのである。
 
これに対して甲田療法では、食べすぎが、ありとあらゆる病気の原因になっていると見る。食べ過ぎの結果としての宿便が、あらゆる病気の発生に関係していると言うのである。頭痛や肩こり、めまい等だけでなく、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、アトピー、膠原病、さらにガンも、宿便によって引き起こされる。たとえばガンについては、平均摂取カロリーの6割程度に食事の量を減らすと、ガンの発生率も一桁減少するというアメリカの報告もあるという。
 
問題は、甲田療法でいう食べすぎが、現代の栄養学では、一日に必要なカロリーとされることである。つまり、現代日本人はおおむね食べすぎということになる。  
 
たまたま、福田氏の本のなかに潰瘍性大腸炎の治療例が掲載されており、『食べ方問答』のなかにも同じく潰瘍性大腸炎の治療例が紹介されている。同じ病気に対する両者の考え方や治療法の違いが分かって興味深いので、比較してみよう。
 
まずは、福田稔氏の症例である。彼によれば、この病気の引き金はなんといっても心身のストレスである。ストレスが交感神経を緊張させ、顆粒球を増やし、大量の活性酸素を産出する。活性酸素が大腸の粘膜を破壊して、潰瘍やびらんができる。この病気の患者は、顆粒球が正常範囲を大きく超えて増加する。
 
W君は、初診時18歳だったが、顔面蒼白でやせ細りまったく生気がない。腹痛や下痢で疲れ果て「生きるのはもういい」というほど治る希望を失っていた。ステロイド系の薬などは止めていたが、影響は残り手足が氷のように冷たかった。
 
薬を止めて半年間、厳しい食事制限の下、玄米菜食を続けけていた。福田氏は玄米菜食は悪くないが、あれもだめ、これもだめだと返ってストレスになるから、何よりもおいしい食事を楽しくたべて体力を取り戻すよう指導したという。そう言われ、久しく食べていなかった好物のハンバーガーを食べたという。
 
自律神経免疫療法による2回目の治療で腹痛は完全に消え、その後、発熱や湿疹などのリバウンドはあったものの、2ヵ月後には下痢も止まったという。出欠が完全に止まるまでには1年かかった。治療を始めてから食欲が出て体重が増え、身長は半年で10cm伸びたとのこと。  
 
次は、同じく潰瘍性大腸炎の患者を甲田療法で治した例である(『食べ方問答』)。この病気で一日に20階から30回も下痢するような生活が3年間もつづいた患者が、甲田医院に入院した。断食療法を行ったところ、11日目に一晩に8回もトイレにいき、その度に茶碗一杯の便が出た。合計したらどんぶり鉢に二杯分くらい。
 
潰瘍性大腸炎は、現代医学で原因は解明されておらず、治療法も確立していない難病であるが、甲田医師は、一日2食の少食療法で治すことができるという。この病気になる人は、大食、肉食の人が多く、胃腸の吸収が悪くなっているが、少食療法で少食でも大丈夫な胃腸に変わるという。ただし、この病気ではすぐに下血するため、食事は玄米クリームが中心で、それによって腸の炎症を取り、胃腸の吸収をよくする。また、下痢や下血で塩分が失われやすいので、塩分の補給には気をつける。
 
治療の仕上げには本断食が行われる。上に挙げた患者も、仕上げの断食中の宿便排泄だったようだが、甲田医師の指導で自宅でこの難病が治った人が相当数いるとのこと(『長生きしたければ朝食は抜きなさい』)。
 
◆両者の違いをどうとらえるか
ということで、福田―安保理論と甲田療法の違いを見てきたが、私自身は両者の違いをどうとらえるか。両者には共通点もありそうなので、そうした点も視野に入れながら、まとめていきたい。  
 
ストレスが病気の発症や免疫力に深刻な影響を及ぼすということは、これまでにも指摘され、多くの人が経験的にその事実を認識していた。福田―安保理論の画期的なところは、自律神経系と、顆粒球とリンパ球の増減などとの関係においてそのメカニズムを明らかにしたことである。この理論は、対症療法的なこれまでの医学を乗り越え、新しい医学を目指して行く上で非常に重要な理論である。
 
また代替医療の多くが、自律神経の働きを調整し、バランスと整える作用に優れているがゆえに、代替医療の意味や効果についての理論的、科学的な基礎付けという役割も、福田―安保理論が果たしていくことになるだろう。
 
現に2004年には、鍼灸師を中心に「自律神経と免疫の研究会」が発足。ハリ治療師を中心に医師の協力を得て定期的な血液検査を行っているという。血液検査によって、白血球の比率をチェックすることで、自律神経の調整作用による免疫腑活効果を確認する。それによって、ハリの治療効果を医学的に立証できるようになったのである。福田―安保理論による血液検査は、ハリ以外の様々な代替医療においても活用できるだろう。気功、食事療法、漢方、ホメオパシー等々においてその効果を数値的に確認できる道が開けたのである。  
 
 福田医師の考案した「自律神経免疫療法」は、代替医療の中のハリ治療の一種と考えてよいとのことだ。ただし、福田医師は、なぜ一種のハリ刺激(実際には注射針やレーザー、電子針)が免疫力を高めるのかについては何も説明していない。ハリ刺激を実践し、語る以上は、経穴や気について触れない分けにはいかないだろうが、その点については何も語っていない。福田―安保理論と経穴や気の理論をいかに結び付けていくかは、今後の課題だろう。
 
一方、玄米菜食の少食や断食療法も、それが実際にどれだけ免疫力を高める働きがあるのか、白血球の比率の変化で立証できるなら、より信頼性が増すことだろう。そうなれば、どんなに素晴らしいか。要するに福田―安保理論は、代替医療を統合していくためのかなめの理論としての役割を果たしていくだろう。代替医療相互は、それぞれ排他的に自己の理論の正しさを主張するのではなく、互いの療法への理解を深め、その良さを自己の理論に取り入れていくべきなのである。
 
潰瘍性大腸炎ひとつにしても、その原因をストレスと見て対処すると同時に、少食や断食療法が効果的である治療例も抑えておくべきである。そうした相互理解が、どの代替医療を中心にする医師にとってもプラスになるはずである。
 
甲田療法を虚心に読み、実践すれば、その効果、素晴らしさはやはり無視できない。とすれば、ストレスが免疫力を低下させるとともに、現代人にあっては、食べすぎが免疫力を低下させる面が多大であることを認めることで、代替医療そのものが、その理論的な広がりと実践の療法のレパートリーをより豊かに展開していくことが出来るのである。  
 
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