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日本がアメリカを赦す日

日本がアメリカを赦す日 (文春文庫)

著者は、精神分析を国家のあり方に応用し、日本をペリー・ショックによる精神分裂病患者、アメリカをインディアン虐殺に起因する強迫神経症患者として実に興味深く分析している。近代日本にとっていちばん根深い無意識的な傷が黒船の威圧によって無理強いされた開国にあるというのが岸田の有名な仮説である。一方、アメリカ建国にともなう深層のコンプレクスは、アメリカ先住民(インディアン)を死においやり、その犠牲の上に現在のアメリカがあるということである。フロイトの理論を国家のあり方や国家間の摩擦に応用して精神分析するという手法は、それ自体たいへん興味深い。

岸田の分析をすべて受け入れる必要はないだろうが、少なくともこうした視点から日米関係を振り返るための重要な素材が提供されたと言うべきだろう。また、国家としての集団の精神構造を自覚的にとらえる作業は、自分自身の精神構造を自覚化する上でも大切だ。

余談だが、トム・クルーズが主演した『ラスト・サムライ』を、私は映画として評価しないが、インディアンと日本人とをオーバーラップさせるアメリカ人の意識が、ストーリーや画面に計らずも反映していて興味深い。またそこには、インディアン虐殺に対する罪悪意識を浄化しようとする、たぶんに独善的な心理が暗示されているとも言えよう。岸田理論は、『ラスト・サムライ』を見るうえで大きなヒントを与えてくれる。

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