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ヒンドゥー教 インドという謎

ヒンドゥー教 インドという謎 (講談社選書メチエ)

一方に精緻な哲学思想、洗練され高度に発達した「知」の体系としてのヒンドゥー教、他方に庶民の生活や感じ方のレベルで息づくヒンドゥー教。本書は、第一部で生活に溶け込んだヒンドゥー教を語り、第二部で緻密に体系化された哲学思想としてのヒンドゥー教を扱う。もちろん、両者が密接に結びつくものという前提にたっての二部構成である。

この試みが成功しているかどうかは分からないが、私にとっては第二部で古代から現代に至るヒンドゥー教の歴史を、手短に一望できるのがありがたかった。

意外だったのは、南アジアにおけるヒンドゥー教とイスラーム教が、歴史的にかならずしも対立状況になかったのではないかと著者が指摘ているところである。二つの宗教は、互いに「他者」という意識も希薄なまま、互いに敵意を抱かずに共存してきたというのである。そういう前提にたって、ではなぜ現代において両者が対立するのかを著者は問う。そしてその理由をイギリスのインド支配の過程で起こった三つの要因のうちに見る。詳細は省くが、西欧的な宗教観にたったイギリスによる国勢調査、マスコミの発達、西洋的な宗教観の影響を受けたインド人自身によるヒンドゥー教観の確立。その上に、インド・パキスタンの分離独立とそれに続く印パ対立が続くというのだ。

いずれにせよ、ヒンドゥー教が西欧思想と出会うことで自己理解をどのように変貌させ深めていったかは、興味深いテーマであり、本書でも第6章「近代インド思想の展開」でその点に触れられている。

JUGEMテーマ:精神世界の本

 

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