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『誇り高き日本人でいたい』(C・W・ニコル)

◆『誇り高き日本人でいたい

著者は、1940年、英国南ウェールズ生まれ。1962年、空手修行のために初来日。80年に長野県の黒姫に居を構える。95年に日本国籍を取得。作家として活躍する一方、環境問題にも積極的に発言し続けた。以上は、この本で紹介された略歴の要点。

彼は、ウェールズのケルト人だ。『ケルト巡り』で紹介したケルト人の子孫は、ウェールズにも多い。ケルト族は、サクソン族がやってくるはるか前からブリテン島に住んでいた。その後、残虐なノルマン族が大挙して島に押しよせ、西はウェールズ、北はスコットランドへケルト族を追い散らした。C.W.ニコルはそのケルト人の血を受けついでいる。それにかかわる印象的なエピソードがこの本の中に書かれている。

「もう何年も前のこと、1960年代の日本で、私は鬱蒼としたブナの森を歩いていた。樹木の霊気に包まれた私の胸に、かつて経験したことのない不思議な感動がこみあげてきた。私はその場に立ちつくしたまま、頬を伝う涙をぬぐうことも忘れていた。ここはエデンの園なのか。はるか昔のブリテン島で、ケルト人の心を熱くしたのはこの感動だったのだろうか。」

その後、彼は黒姫に居を定めたが、その地の環境破壊は進み、目を覆うばかりだったという。一方、生まれ故郷のウェールズは、炭鉱から出る粉塵にまみれ緑もまばらな荒れ果てた土地だったのが、人々の情熱によって森が再生されつつあった。日本企業の進出によってその地が経済的に潤ったという背景もあった。ウェールズでの体験は、彼の人生を大きく変えた。「環境破壊が進む日本に不平不満を言っているだけでは何ひとつ変らない。ウェールズの人たちがしたことを、私もに日本でやろう」。それから、黒姫で隣接した土地を次々に買収し、黒姫の森を生き返らせる必死の努力が始まるのだ。

この本は、彼が日本に来るまでのいきさつを少年時代のエピソードから順にたどることができる。といっても個々に独立したエッセイが元になっており、ユーモアもたっぷりで気軽に読むことができる。何人かの魅力的な日本人らとの交遊録も感動的だ。一方で、かつて彼がこよなく愛した日本人の良さが急速に失われていくことへの批判も手厳しい。その背後に日本を愛してやまない「誇り高き日本人」のすがすがしい生き方が見て取れる。

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