スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

    2017.03.19 Sunday/ -/ / -/ -/ -/ -/ by スポンサードリンク

日韓いがみあいの精神分析

◆岸田秀の面白さ
岸田秀と金両基の対談『日韓いがみあいの精神分析』(中央公論社、1998年)を読んだ。岸田の『日本がアメリカを赦す日』にしても、この本にしても、私が彼の著作を興味をもって読むのは、心理学や心理療法への関心の延長上で歴史や社会を読み解くことができるからだ。こういう視点からズバリと社会現象をえぐる著者は、あまりいないし、その分析力も鋭く興味深い。

◆日本建国の真相
《まとめ》個人の自我が、挫折、不満、軋轢などを通して成立するように、国家も、何かショッキングな体験を通して成立する。日本国家の成立にとって、それにあたるのは白村江の戦いだった。その敗北で、唐・新羅の連合軍が攻めてくるという脅威を感じたから、豪族同士がまとまって大和の豪族を天皇にした。

また、白村江の戦いは、新羅に追われた百済の遺民が失地回復を企てて失敗したのが真相ではないか。つまり日本は、百済の亡命政権が亡命政権であることを隠蔽したときに建国されたのではないか。さらに、朝鮮半島を追われて日本を作った百済人の隠蔽記憶が『日本書紀』に投影されて、任那日本府とう幻想を作り上げたのだろう。

日本という国は、朝鮮を、朝鮮との関係を否定することによって成立したのだから、そういう事情が尾を引いて、この国が危機に瀕し、アイデンティティが不安定になると、それを立て直すために、またあらためて朝鮮を否定しなければならない。(『日韓いがみあいの精神分析』13〜21)

◆自分の本当の起源は嫌い
《まとめ》キリスト教は、ユダヤ教の一分派だが、キリスト教徒はユダヤ人を長く憎み続けている。誰しも自分の本当の起源が嫌いなのである。自分の独自性を損なうからである。(120)

日本人は、建国の時以来、朝鮮とのつながりを否認し、純粋な日本人という幻想をもつことで、日本を建国した。そのような幻想と否認によって、自己のアイデンティティを保とうとするとき、否認する相手への差別意識が必要となる。

しかし、差別意識には時代によって強弱の波があり、外圧のなかった江戸時代には、外に向かってアイデンティティを強調する必要もないから、差別意識が強まったとは考えにくい。

韓国人への差別意識が強まったのは、明治以後ではないか。ペリーに開国を責められて屈したために、ヨーロッパ人への劣等感が生まれ、その補償として自分より劣等と思える存在が必要となった。それが韓国人やアジア人全体への差別意識につながった。。(『日韓いがみあいの精神分析』110〜111)

◆差別の二重の理由
かなり納得のいく分析だと思う。韓国人への差別意識の根拠が、二つの面から語られている。自分の本当の起源は忘れて、自分の独自性を保ちたいという面と、圧倒的な軍事力をもって迫ってきた欧米人への劣等感の裏返し。

とくに後者は、個人の心理としても、きわめて重要であり、個人心理としても、我々の心のなかには、欧米人への劣等感と、その裏返しとしての、非欧米人への優越意識とが共存する。自分が非欧米人であることも忘れて、経済的な発展などを背景に優越感に浸る。個人心理が、そのまま集団心理ともなる、きわめて普遍的な心理現象だろう。

韓国人に対しては、自分の起源を否認したいという心理も働き、二重の意味で差別意識が強くなったのだろう。

◆攻撃者との同一視
《まとめ》国家がアイデンティティを脅かされ、危機を感じるときには、自分を脅かす敵に学ぶ。これを精神分析で「攻撃者との同一視」という。幽霊を怖がる子供が幽霊の真似をして他の子供を脅かすのと同じだ。国家も同じである。そして模倣しつつ模倣していることを隠す。自分の独自性を主張するために、模倣している当の相手を憎み、軽蔑する。

ペリーに不平等条約を押し付けられたとき、「不当なペリーに屈したのはわれわれが弱かったからだ」と認識するのは屈辱的だから、「文明開化をもたらしたペリーは正しく、開国を嫌がった日本の方が間違っていた」と認識を転換する。そのようにペリーを正当化すると、今度はペリーと同様のことをせざるを得ない心理になる。

まだ鎖国政策をしている韓国は愚かだからと、江華島に軍隊を派遣し、ペリーの行動を模倣することで、ペリーの正当化を強化する。さらに、欧米のように植民地をもち、欧米の植民地主義の手先となり、そのおこぼれをもらうことで軍事力と経済力を身に付けて、いつか欧米に対抗しようとした。それが朝鮮支配、中国侵略、アメリカとの戦争につながっていった。。(『日韓いがみあいの精神分析』121〜134)

◆差別意識:国家と個人
ここまで、主に岸田秀の分析をまとめてきた。そのすべてが正しいとは言えないかも知れぬが、全体として日韓関係や、日本の対アジアへの姿勢を考えるうえで大いに参考になると思う。それだけではなく、我々一人一人のなかにある差別意識を自覚化し、その根元にどんな経験が横たわっているのかを知るうえでも貴重な分析だと思う。

民族差別の問題は、個人の差別意識がそのまま国家レベルの差別意識に連動し、歴史の流れに影響していると考えて間違いない。いや、国家レベルの経験が個人の意識に反映していると言うべきか。

実際には、その両方であろう。ひとつはっきりしているのは、個人個人が、自分の無意識に根ざす差別意識を自覚化し、解消していくことが、国家レベルの問題の解消にもつながっていくということだ。その意味でも、岸田秀の仕事は、もっともっと議論されてよいと思う。

JUGEMテーマ:オススメの本

スポンサーサイト

    2017.03.19 Sunday/ -/ 09:17/ -/ -/ -/ -/ by スポンサードリンク

コメント
コメントする








   

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>

つぶやけば誰かとつながる!!

管理人の著作

最近読んで面白かった本

美しくも不思議な縄文の魅力・写真集

全米で最も影響力のある精神世界指導者

私も深く影響を受けた本

selected entries

categories

archives

recent comment

recommend

links

profile

search this site.

sponsored links

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM