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脳内現象:批判的考察

◆『脳内現象 (NHKブックス)』茂木健一郎(2004年)

★学的ゾンビの可能性
《まとめ》私たちの意識体験の実相に即して考えるなら、そこに現れるのは、〈私〉という核に中心化された形で各領域の神経細胞の活動を見渡している「小さな神の視点」であり、その主体としてのホムンクルスだ。このような意識が成立していることは否定できない。

しかし、〈私〉たるホムンクルスが脳内活動を「見渡している」という認識論のメタファーを用いている限り、つまり従来の存在論と認識論の枠組みの中で考えている限り、「それと全く同じ物質過程が、何らかの意識体験もともなわない、単なる哲学的ゾンビとして起こってもよかったのではないか、なぜそうなっていないのか」という問いに答えられない。

意識のなぞを解決するためには、「小さな神の視点」を事実として認めた上で、従来の存在論と認識論の枠組みを超えた議論の方向性を提示する必要がある。(110)

★認識論と存在論
ここで茂木は、認識論と存在論という言葉で語っているが、これは主観性と客観性という区分に対応するだろう。体験の主体としての〈私〉の存在を認めざるを得ないとした上で、「それと全く同じ物質過程が、何らかの意識体験もともなわない、単なる哲学的ゾンビとして起こってもよかったのではないか、なぜそうなっていないのか」という問題に言及する。

つまり、体験の主体、認識の核たる主観という不思議を認めた上で、主観性など必要なく、すべては客観的な物質過程でこと足りたはずだ(哲学的ゾンビ)という科学からの問題提起を受けて立とうと言っているのだ。

科学が科学である以上、すべてを客観的な物質過程で説明し尽くそうとするだろう。繰り返すが、主観性などというやっかいなものを説明する原理を、そもそも科学はもっていない。それを意識的に排除することで科学は成立したからだ。

では、存在論と認識論の枠組みを超えた議論の方向性は、どのように提示されるのだろうか。もし、それが説得力のある形でなされるなら、それは従来の科学のあり方への重大な挑戦となるであろう。

★クオリアの集合としての〈私〉?
《まとめ》1997年刊行の『脳とクオリア』で茂木が考えていたのは、およそ次のようなことだった。意識のなかで「これ」と把握されるものは、すべてクオリアである。すなわち意識のなかで把握されるものの単位がクオリアである。それゆれ、私たちの意識はクオリアのかたまりとして捉えることができる。脳内で1000億の神経細胞が活動し、それぞれがシナプス結合を解して一万の神経細胞と様々な関係を結ぶことによって、マッハの原理(関係性に基づいて属性が生まれるという考え方)に基づきクオリアが生み出され、そのようなクオリアの集合として、〈私〉の意識が成り立つ。つまり〈私〉とは、その時々に生み出されているクオリアの集合である。それを図式化すると次のようになる。

神経細胞の関係→クオリア→(クオリアの集合としての)〈私〉

★クオリアと〈私〉
茂木が、このモデルの欠陥に気づいたのは、「両眼視野闘争」という現象を観察してからだという。今、その説明は省くが、要は「何もないところにまずクオリアが生み出され、そのようなクオリアの集合が〈私〉を定義するのではなく、そもそもクオリアはそれを感じる〈私〉とセットになっているということである」。ある特定のクオリアを生み出すような神経細胞の関係性がたとえ生じたとしても、それが〈私〉に見える形で接続しなければ、〈私〉はそれを感じることはできない、ということである。(180から182)

★私がクオリアを‥‥

「クオリアの集合が〈私〉を定義するのではなく、そもそもクオリアはそれを感じる〈私〉とセットになっているということである」という茂木の認識はまさしくそのとおりだと思う。

『心を生み出す脳のシステム』へのコメントでも書いたが、クオリアとは、結局、主観にどう感じられるかという問題なのだ。主観を前提としないクオリアなどありえない。

だから『心を生み出す脳のシステム』で茂木が、『「私」とは、「私」の心の中に生まれては消えるクオリアの塊のことだとも言える』と表現したが、これは言い方として正確ではない。まさしく、これは『脳内現象』で茂木が乗り越えようとしている図式そのものだ。「私」という主観性がなければ、クオリアはそもそも感じられないのだ。

クオリアの問題の難しさは、脳という物理的・化学的な過程になぜ主観性が出現するのか、という問題の難しさと等価だ。

では、このような認識の上にたって、茂木はどのような解決案を提案するつもりなのだろうか。さらに追ってみよう。

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