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アニメがフランスに与えた「共感」と「恐れ」(1)

◆『水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす

著者のトリスタン・ブルネ氏は、1976年生まれで、フランス人「オタク」の第一世代を自称するマンガ・アニメ通だ。日本マンガの翻訳家であると同時に日本史の研究者であり、日本の大学等でフランス語、フランス思想の講師もつとめるという。

この本はフランスにどのようにアニメが導入され、定着していったかを、子供時代からの彼自身の経験を中心に具体的に、かつ当時のフランスの社会状況や時代の流れも視野に入れて語っていく。個人的な体験を語る部分は、面白いだけでなく、偽りもてらいもない誠実で温かいペンの運びが心地よい。また彼を取り巻く当時のフランスの状況や歴史に触れる部分も、歴史の専門家としての適度なバランス感覚や視野の広さが感じられ、好感がもてる。

読みながらいちばん強く印象に残ったのは、日本のアニメやマンガが、それを視たり読んだりして育ったフランスの子供たちにどのような深い影響を与えたかを繰り返し語る部分だ。これまでも断片的には、外国人によるそうした言葉に接したことはあるが、これほど本格的に、深い洞察力をもって、日本のサブカルチャーが他文化の人々に与えた影響を語る本に出会ったのは初めてであった。これは私にとって大きな収穫であった。

フランスのTVではじめて日本のアニメが放映されたのは1972年で、「ジャングル大帝」(後半部分のみ)だったが、子供たちの圧倒的な人気を得た最初の作品は1978年の「UFOロボ グレンダイザー」であった。フランスで日本のアニメが本格的に放送されるにようになったのは、放送局が民営化される過程でコンテンツ不足に悩み、それを補うのに安い日本製アニメが輸入されたからだ。当時、フランスの小学校は水曜日が休日で、その日の子供向け番組にアニメが放映され、大勢の子供たちを夢中にさせた。水曜日のアニメを待ち遠しく待ったそうした子供たちの一人がこの本の著者だった。

フランスのテレビ放送の民営化が本格化した1980年代中盤は、フランスのお茶の間に日本のアニメが浸透した時代でもあった。日本製アニメの放映量は急速に増し、80年代後半からは、「ドラゴンボール」「うる星やつら」「キューティー・ハニー」「Dr.スランプ」「めぞん一刻」「キャッツ・アイ」「北斗の拳」「キャプテン翼」といった大ヒット作が立て続けに放送された。

その後も「キン肉マン」「シティハンター」「気まぐれオレンジ☆ロード」「らんま1/2」「美少女戦士セーラームーン」といったヒット作を放送するが、その人気は1990年代中ごろから低迷し始めたという。その大きな理由が日本製アニメに夢中になる子供たちの親世代からの激しい批判、ジャパンバッシングであった。その批判に耐えかねた放送局が日本のアニメの放送量を大幅に減らしたのが原因だった。

なぜジャパンバッシングが始まったのか。いくつかの理由が重なっているようだが、その背景には、オイルショック(1973)をいち早く抜け出し経済成長を続ける日本への漠然とした恐れと反感があったのではないかという。またある女性政治家が、テレビの民営化を進めたシラク政権を攻撃して自分への支持を得るため、ジャパンバッシングを利用して日本アニメを「恐ろしいもの」と批判する本を出版した。この本はベストセラーになり、当時の親世代に絶大な影響をもたらしたという。

しかし著者は、当時の日本アニメへのバッシングにはもっと深い理由があったのではないかと考える。それは、日本のアニメが西欧にない異質な世界観・価値観を子供たちに注ぎ込むことへの恐れであり、これを語ることに本書の大事なテーマがあるようだ。次回はこの点をさらに探っていこう。

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