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朝食を抜くのは健康によい

◆『朝食を抜いたらこうなった』甲田光雄(春秋社、2003年)

現代医学は、栄養をとり入れる面をよく考えた合理的なものだが、老廃物を完全に排泄するという、出す面をあまり重視してこなかった。それが現代医学の重大な欠陥だ。しかもその欠陥にまだ気づいていない。とり入れることも大切だが、老廃物をいかに完全に出すかという排泄の医学もそれに劣らず大切であるにもかかわらず、ほとんどその面が省みられなかったのだ。

朝食抜きという午前中の断食は、前日に生成された老廃物を完全に出す重要な時間であることに、現代医学はまだ気づいていないのだ。 この本は、現代医学で治らなかった患者に著者が朝食抜きの小食を指導して治していった多くの事例が掲載され、上の主張の正しさを雄弁に物語る。現代医学が見落としている人間の体の不思議をこれでもかというほどに見せつけられる。

甲田療法や、そのもととなった西医学が、もっともっと多くの人に関心をもたれてほしい。「朝食抜きは、体に毒」という「常識」がこれほどに蔓延しているなかで、その「常識」をまったく覆すような小食の実践が、驚くべき効果を挙げている事実は、現代医学を相対化する目を養ってくれる。

この本は、朝食抜きの玄米、野菜食を基本とした甲田療法でも、とくに療法の途中で出る一見マイナスの現象を事例として多く取り上げ、その意味や対処法にスポットを当てている。 長年リュウマチで苦しんだSさんの事例を見よう。医者に慢性の関節リウマチと診断され、ひどい痛みにステロイド剤を使用するが、痛みの軽減は一時的なもので、薬を増やしても痛みが楽にならない状態になった。ついには寝たきりになるのではないかという心配の中で、甲田医院を訪れた。 甲田医師の元で食療法を実行し、ほぼ6ヶ月でステロイド剤から解放された。ところが小食で体重が減少し、160センチで33キロにまで下がってしまった。以前かかっていた医師に甲田療法のような馬鹿な治療はやめよと言われ、一時現代栄養学のメニューに戻ったが、体重は増えてもリウマチの痛みは復活した。 ついに決心して甲田療法に戻ったSさんは、その後、ある晩に3回もトイレに行き驚くほど大量の排便があった。つまり宿便が出た。それからSさんの体調が一変する。それまで続いていた体重の減少がとまり、今度は逆に太りだす。食事は以前と同じなのにである。29キロから、6ヶ月くらいで35キロになり、体力も増強し、リウマチの痛みも楽になっていった。 宿便が排泄され、腸マヒが治り、腸がよく動くようになると、自己免疫疾患が改善されて、リウマチが治ると甲田医師は言う。現代栄養学の常識では考えられないような超小食で元気に生活し、現代医学で難治とされる病気がみごとに治っているのだ。これと同様の経過をたどって病気が治っていく事例がこの本に多く紹介されている。

現代医学のおごり 私の母もリウマチで長年苦しみ、ステロイド系の薬で体力を消耗していたので、もう少し早く甲田療法を知ってたら、と無知を悔やむ。それにしても、こういう事例を多く読んでいると、現代医学、現代栄養学とは何なのかと今更ながら思う。 西医学や甲田理論をそのまま信じる必要はないだろうが、少なくともこうした考え方で目覚しい治療効果を挙げている療法がある以上は、現代医学も社会ももっと柔軟な目で、これらを観察し、真剣に検証していく必要があるのではないか。私の周囲を見る限り、そういう動きはあまりにも小さい。 こうした実践と理論に目を閉ざしている現代医学には、一種のおごりのようなものを感じる。

私は、出勤の前に野菜ジュースなどを飲んでいた時期もあったが、その後はずっと天然水だけにしている。職場でも午前中はできるだけ天然水ということで朝抜きをかなり完全な形で行うようになった。昼食の量も少ないほうが調子がよいようだ。週一回の一日断食も含め、きわめて順調に朝抜き小食が定着している。便通がよくなり、血圧も下がっている。体重はさらに減少するだろう。 しかし、この本を読むと、朝抜き小食にスムーズに移行できない場合も多いらしい。絶えられない空腹感やスタミナ切れ、やせすぎ、貧血、頭痛、胃の痛み、脱毛、便秘その他、各種の反応があるらしい。しかし、これらはちょっとした工夫や慣れで改善できる一時的な反応であり、工夫や継続で素晴らしい効果をあげるまえに朝抜きから撤退してしまうのは実に残念だ。そのような人に何とか助け舟を出したい、そんな思いからこの本は書かれたという。

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